瞬発力、動体視力、反射神経。

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今日のもちこみ

今朝のもちこみは久々の毛玉ボール。

何故か持ち込んだところで休憩中の海人。
最近冬毛に変わったせいで、もしかして太ったんじゃ?疑惑をかけられていた海人ですが、
体重を計ると変わらず。病院で計ると3.8kgといわれるんだけれど、家で計るとなぜか3.6kg。謎です。

このまま寝てしまいそうだったのでこっそりボールを机の上にあげておきました(笑)

標的探し中

しばらくしたら目を覚まして、いきなり机の上を捜索中……。
もしかして見てたのか。取ったところ……。

あれ?

探しているものが真横にあるのに、何故か気がつかない海人。左手で死角になったのでしょうか。
でも これじゃドリフのネタみたい。

みつけた

ちょっとしてからようやく発見。
真横にあったね〜。

奪取

次の瞬間一瞬でもっていかれました……。

やっぱり瞬発力、動体視力、反射神経はすごいですね。
もうちょっと大きけりゃ、とうてい勝ち目は無いですね……。

瞬発力、動体視力、反射神経といえばボクには思い出があります。
(以下長文になりそうです。ご面倒なら読み飛ばしてくださいね。)

10年以上前、ボクはまだ京都に住んでいました。その当時は夜からの仕事をしていたのだけれど、
その仕事の前によく京都の動物園に行きました。ひとりで(笑)

動物園に行くと言っても動物園に入るのが閉園一時間まえの16時くらい。
確か冬場は30分早く閉園したんじゃなかったかな……。
なんにせよ当時ボクは「時間があれば1時間動物といよう」と決めたわけです。
最終の入園が閉園30分前までだったから大抵がボクが最後の入園者だったと思います。
まぁ閉園前の動物園に一人でやってくる人なんてまずいませんでした。

その時間の平日の動物園はとても静かで、人もほとんどいなくて、動物達もいつもみんなが見るような
大きな檻の方にいるよりも、裏側の自分の寝床の方にいるのがほとんど。
動物達の態度も普段と違ってちょっとリラックス気味。
「じつは俺さぁ……」なんて言われそうな感じ。

そもそもゆっくりと全ての動物を見るには時間がなかったので、
ボクはいつもきりん・ぞう・らいおん・とらの順番で見て回っていました。

きりんは当時大人2頭と子供が1頭いたと思うのだけれど、
裏のきりんの寝床っぽところにまわってみると、たいてい子供のきりんが食事中でした。
彼か、彼女かは忘れたけれど、初めはまったく無視していた子供きりんも、
何度か行くうちにボクの存在に慣れたようで、(ってどんだけ通っとんねん(笑))
小屋の奥でご飯ひと口→入り口に歩いてボクを見下ろす→戻っていってご飯ひと口 ……っていう
行動を繰り返す様になりました(笑)
なんだかかわいいなぁと思った記憶があります。

ぞうは当時3頭いたんです。
名前は忘れちゃったんですが、 年老いたメス、若いメス、もっと若いオスがそれぞれ1頭ずつ。
上の登場順に右からひとりずつ檻に入っていました。
ボクが行く時間はここも食事タイムで、 みながそれぞれ思い思いに食事をしていました。いつも(笑)
一番若い男の子は自分の好きなリンゴやカボチャを先に食べてしまって、
残った藁が嫌で、 となりの檻に残っているカボチャなんかを取ろうとひとしきり頑張るのですが、
若い女の子はとっくに承知の上らしく、彼の鼻の届かないところにひょいと移動させるんです。
若い女の子の事で記憶に残っているのはそれだけなんです。なんでだろ……。
年老いた彼女は藁を食べて、りんごをひとつ、足で踏んで砕いたカボチャのかけらをひとつというように
旨くローテションして食べていました。彼女はりんごが好きなようでした。
年老いた彼女はいつも檻に寄りかかるように立っていて、食事を食べながらいつもボクをじっと見つめていました。
あれは何かを語りかける目です。ボクはいつも何事かを彼女に諭されたような気持ちになって
ぞうの厩舎から離れた記憶があります。

らいおんは夫婦で檻にいました。かれらはいつも外の檻にいた気がします。
この時間になると、飼育係の人がご飯を持って檻の上の方にある(いうなれば2階の)扉からご飯をあげるのですが、
メスの方はご飯命って感じで扉の近くで微動だにせず、じっと扉を見つめています。ボクなんか全く無視です。
オスは普段はぼ〜っとしているようにしか見えないのですが、サカリの時期だけは豹変していました。
ボクは何度も同じ様な時間に通っていたので、同じ様にタイムスケジュールを組んで餌やりや見回りをする
飼育係さんと顔見知りになったのですが、その人がたまたまネコ科の担当だったんです。
普段からメスらいおんはご飯をくれる飼育係のおじさんをひたすら待っているのですが、
サカリのついたオスらいおんはどうやらメスが自分より飼育係さんに気があると思うらしく……。
とにかくサカリの時期のオスは飼育係さんが嫌いになるそうなのです。

ボクがじっと見ていてもオスはメスの気を引こうとメスのまわりをぐるぐる。
そのときたまたま件の飼育係さんがやってきました。
ボクが挨拶した「どうも」という言葉が終わるか終わらないくらいのうちに
「どごんっ」という音とびっくりするぐらい大きな雄叫びがあがりました。
びっくりして振り返ってみると、 目の前にオスの大きな顔が……。
しかも飼育係さんに飛びかかろうと必死に手を檻から出そうともがいていました。
檻の奥からはだいたい5mくらい。その気になったら1秒もかからないんですね。その距離。
なにより声がでかい。歯がでかい。威嚇の動作は猫のそれとあんまり変わらないんだけれど、
その全てがでかいのに早いんです。一方の飼育係さんは余裕です。
「いま一緒にいたら危ないですよ(笑)」なんて言っておられました。
(じゃあこっち来んなよってほんとは思ったけど)
「今ボクが檻に入ったら多分殺されますよ(笑)」なんて言いながら、
ボクの横から一歩反対側に移動してみせると、
オスらいおんはすぐに反応して飼育係さんの前の檻にタックル。
その度に檻が壊れるんじゃないの?って心配になるくらい本気。
「ほらね(笑)」
飼育係さんは余裕でした。
「瞬発力、動体視力、反射神経、絶対に勝ち目はないですから」
そうおっしゃっていたのがすごく印象的だったのです。
すごくうれしそうだったんですよ。そのときの飼育係さん。

とらは年老いたメスでした。

彼女はボクが行くといつも檻の裏側でひっそりと休んでいました。
ボクに一瞥をくれるだけであとはぼんやりとしていたのですが、
通っているうちに小さく低〜い声で挨拶してくれる様になっていました。
これがちょっと自慢だったのですが、そこで先ほどの飼育係さんがまた登場^^
年老いた彼女、飼育係さんが現れるや否や、何故が身を低くして隠れる仕草を見せるんです。
でもゴロゴロと喉を鳴らすのが聞こえて来て、飼育係さんが声をかけると
彼女としての精一杯の可愛い声で返事をするんです、とっても低い声ですけれど。
「ちょっと風邪気味なんですよ」
なんて言いながら声を掛けている飼育係さんと年老いたとらにはなんだかすごく信頼関係があるんだなぁと
思ったものです。まぁたまに夕方通ってくるやつには負けないって事だったんでしょうね……。

それからしばらくしてボクの京都動物園通いも夜勤が終わってすっかり遠のいてしまい、
それから数年してあのとらが亡くなった事をニュースで知りました。

それから新しいトラがやって来てまたしばらくのちに、こんどはそのトラが飼育係さんを襲ったとニュースがありました。

ボクには悲しい事に飼育係さんが当時のあの人なのかどうか、わかりませんでした。
ボクらは話をいくらかしたのだけれど、お互いに名前を言う事が無かったからです。
「瞬発力、動体視力、反射神経、絶対に勝ち目はないですから」
そういったあの人ですから、違う人なんじゃないかなぁとも思います。
でもたぶんあの人だろうと思います。そうしてそのおかげで、ボクの心には
ネコ科の動物に「瞬発力、動体視力、反射神経で、絶対に勝ち目はない」 というのが
あらためて刻み込まれたのでした。

これももらおう

海:「いまのうちにこれももらっとこう」


“瞬発力、動体視力、反射神経。”に8件のコメント

  1. 何だかとってもいお話でしたね。
    顔見知りになるくらい通うって、すごい!
    最近北海道の動物園はとっても活気があって、そんなにフレンドリーに話せるような機会はなさそう。
    ライオンやトラと目で語るようになれたら嬉しいですよね~。

    そういう点では、家猫はできるから楽しいですよね。
    って語れてる!って思ってるのは、人間だけだったりして・・・?

  2. う〜ん。
    画や色、音、匂いまでもが浮かぶお話だったなぁ。
    短編映画を観たみたいな気分になりました。
    akiraさん、やっぱり文章上手ですねぇ。

    私は、きっとその飼育係さんではないと思います。
    その人はネコ科の動物のすごさ、したがって怖さも
    真に理解していたから。

    夕暮れに人が減った動物園で食事をする動物たち。
    一番のんびりしているいい時間帯かも知れませんね。
    行ってみたくなりました。

  3. とても深いお話ですね。
    家や外で虫を見つけて追い掛けるうちの猫を見ている時、動体視力はすごいな~と感心してました。
    家で飼っている猫ちゃん達も時々自分の能力が落ちないようにと、高いところへ上がったり、物を追っかけて遊んだりしているのでしょうね^^
    海人くんもバッチリトレーニングしているようですね♪

  4. ☆花梨。さん
    あの頃はなんだか自暴自棄になっていて、
    人と関わるのが嫌でしょうがないような感じだったんですね……。
    それでたまたま仕事前にぶらっと入った閉園前の動物園の雰囲気が
    すごく気に入ってしまって、それから結構通っちゃいました。
    あの当時動物園で人と話したのってあの飼育係さんだけだったと思います。
    北海道は動物園すごい人気ですもんね^^
    一度は行ってみたいです。そういえば網走水族館には行きました(笑)
    実は動物園と水族館が大好きで結構各地のに行ってます。
    でもどちらかというと、ひとけがない方が好きかもしれません。
    記憶にのこっているのは沖縄のこどもの国ってところにある動物園と、
    三重県の鳥羽にある二見シーパラダイス。
    どちらも大きな水族館におされて人気が少なかったのと、
    二見シーパラダイスは早朝についてしまって、オープンと同時に入ったら、
    セイウチと遊ばせてくれたのが思い出かな^^

    花梨ちゃんもトム兄も、ちゃんと目でいろいろ語ってくれているじゃないですか^^
    ちゃんと話せていると思いますよ^^

    ☆COGさん
    いや〜ありがとうございます^^
    COGさんにそんな風に言ってもらえるとうれしいです^^
    あの飼育係さん、色んな意味で、いったいどうしているんだろうなぁとたまに思います。

    夕暮れ時と朝一番は結構おすすめです^^
    ちなみにボクはたまにオオカミの檻も見に行っていたのですが、
    何故だかみんなでぐるぐる走り回ったり、横一列に整列してこっちを見ていたり、
    あれもなかなか不思議な体験でした。
    そういえば兵庫県の姫路にあるセントラルパーク(車でまわるサファリパークと歩いてまわるのがあります。)で
    カワウソに何故だか気に入られて、みんなミューミュー言いながら寄ってきたのもちょっとうれしかった(笑)

  5. ☆ミースケの母さん
    ミースケ君もばっちりトレーニングしてますよね^^
    それにしても猫に限らず動物達の身体能力や五感はすごいです。
    大抵の事は見破られてる気がしますよ^^
    ボクが彼らに勝っているとしたら、人間社会で生きて来た経験くらいでしょうか……。
    あと日本語話せるくらい……。

  6. すごく素敵なお話…ありがとうございました。
    このお話、ドラマ化できるんじゃないですか?

    動物園といえば名古屋は「東山動物園」
    ここは、ねこ科の動物が結構多いことで
    猫好きにとっては有名なんですよ!

    動物園に行くと真っ先に猫科ゾーンへ向かいます。
    それから色々見て回って最後にまた猫科ゾーンでしめくくります。笑

  7. すごくステキな短編小説を読んだ気分です。
    京都の動物園には一度行ったことがあるのですが、
    のんびりスケッチをしてる人がいたり、
    のどかな雰囲気だったのを覚えています。
    「瞬発力、動体視力、反射神経で、絶対に勝ち目はない」
    確かにそうですよね。
    小さな猫だって、本気を出したら人はかなわないと思います。
    仲良く暮らしていけるのは、きっと彼ら、彼女らが、とってもやさしい生き物だからですよね。

  8. ☆なおminさん
    いやいや、ようするに暇でちょっと病んだやつのただの思い出ですよ〜(笑)
    東山動物園、まだ行ったことないんです。
    「ライオンにおやつをあげよう」って言うのがとっても気になります^^
    とりあえず、近所の天王寺動物園に行ってこようかな……。

    ☆きおさん
    そうですね^^
    確かにこうしてあらためて暮らしてみると、
    本来は穏やかな性格なんですよね。
    狩りの本能と遊び心があるので、戯れるって事はありますが、
    今は本気で噛んだり引っ掻いたりする事も無くなりました。

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