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不便は手間だが役に立つ

勤勉なアリだけの集団と怠け者が混じったアリの集団を比べると、
後者のほうが長く生き延びるそうです。
皆が一斉に働く集団は一斉に疲れはて壊滅してしまいますが、
ー方、普段さぼっているアリは仲間が疲れて休むと代わりに働き
卵の世話などもし、長期的には有用な働きをするのだそうです。
昆虫に限らず、人間の集団もまた、短期的効率ばかりを求めすぎると、
長期的な視点にたてばダメージになるということでもあるのでしょう。

「効率よく、より速くより便利に」は長らく社会の価値観の基軸になってきましたが、
ここにきて、世の中の多くの人々は、便利さの陰で失っているものの大きさを
感じ始めているのではないでしょうか。

聞くところによると、京都大学内に「不便益システム研究所」という機関があり、
「不便」であることから得られる「益」を本格的に研究されているそうです。

いわく「不便は手間だが、役に立つ」。
例えば、入力すれば目的地に間違いなく行けるカーナビですが、
ナビに頼らずに行くことで、時に道に迷って思いもしなかった
名所に巡り合ったり、他人の情けを知ったり。
「不便益」は自分だけの体験、思い出深い旅行につながることができ、
工夫したり、発見したり、上達したり、自分だけ感を持てたり、
様々なメリットを生み出すとしています。
たしかに、人生の豊かさは、どれだけワクワク感、ドキドキ感が
持てるかということ。「不便」だからこそ、「不確実」だからこそ、
そういうものに出会い、ふれあうことができるのかもしれません。