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初心忘れるべからず

『ウサギとカメ』のイソップ童話はよく知られているところです。
どちらが早く目的地に到着するか、両者が競い合い、負けるはずのないウサギが油断して、
途中で昼寝をして負けてしまいます。
己を過信して怠れば失敗する、あきらめずに努力すれば報われるとの教えです。

誰がつくったかわかりませんが、その勝ったカメにまつわる続編の話があります。
カメは「なんでもやればできるんだ」と目覚め、いろんなことに挑戦しようとします。
空を飛びたいと考えたカメは、ある日、ワシに空高く飛んでほしいと頼みました。
ワシはカメをつかんで高い場所に飛んでいき、そこからカメを落としたので、カメは地面に激突し砕け散ってしまったという、ちょっとしたブラックストーリーですが、 カメもまた、自らを過信し慢心した結果といえるでしょう。
日本の伝統芸能である「能」を大成した世阿弥の有名な言葉に 「初心忘れるべからず」があります。
カメはウサギに勝ったことで、「初心」の謙虚さを忘れてしまいまし た。自ら墓穴を掘るというのは往々にしてありがちなことです。肝に銘じておきたいと思います。